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意外と知らない!身元保証人と連帯保証人の違いとは?

公開日:2021/12/01   最終更新日:2022/07/28


介護やサポートを必要とする高齢者が老人ホームといった介護施設へ入居する場合、施設から身元保証人や連帯保証人を求められることがあります。どちらも同じように思えますが、実は明確な違いがあるので注意しなければいけません。今回は意外と知らない、身元保証人と連帯保証人の違いについて解説します。

身元保証人と連帯保証人の違い

老人ホームへの入居だけでなく、就職や賃貸契約を結ぶ際にも身元保証人や連帯保証人が求められることがあります。まずは身元保証人と連帯保証人の、主な違いについて見ていきましょう。

■身元保証人

身元保証人とはその名の通り、対象者の身元を保証してくれる人のことを指します。企業で人材を採用する際や、老人ホームで新しい入居者を募集する場合、相手側は対象者のことをまったく知りません。入社後や入居後に何か大きなトラブルを起こったり、損害を与えたりした場合に備えて、本人の身元を保証してくれる人が必要となるのです。

老人ホームにおける身元保証人の役割は、医療が必要となった場合の判断や入院に必要となる手続き、また施設内で物損や他の入居者へ危害を与えてしまった際の身元保証が挙げられます。施設によっては身元引受人という名称を使用しているところもありますが、両者に明確な区別はありません。実際のところは施設ごとに身元保証人・身元引受人が負うべき義務は異なるため、詳細は事前に確認しておくことが大切です。

■連帯保証人

連帯保証人は民法446条に規定されたものを指します。上記で解説した身元保証人の場合、たとえば対象者が老人ホームの中で損害を発生させたとしても、賠償しなければいけない範囲は限定的。すべてを賠償する責任はありません。

一方で連帯保証人の場合は100%、つまり対象者が発生させた損害について、すべての範囲で賠償しなければいけません。金銭面に限ると、身元保証人よりも大きな責務を負うものと考えてよいでしょう。

老人ホームの入居には身元保証人が必要

公益社団法人全国有料老人ホーム協会の調査によると、日本全国にある介護付き有料老人ホームのうち、入居時に身元保証人や身元引受人を必要とする施設は、全体の約9割に上るとされています。

老人ホーム入居時に身元保証人が必要な理由としては、「利用料の支払いが難しくなったときの、経済的な保証」「判断能力が低下した際の、治療やケア方針の確認」「定期的な状況報告」「緊急時や本人死亡時の連絡」などが挙げられるでしょう。

ただし公的施設となる特別養護老人ホームの中には、身元保証人を必要としないところもあります。介護保険が適用されることからリーズナブルな価格で利用できるものの、基本的に「要介護3以上」といったように、入居条件はやや厳しくなっています。

身元保証人の条件とは?

身元保証人の条件は一般的に「身元保証人としての役割を担える人」となっています。あいまいな条件ではありますが、たとえば老人ホーム入居時には収入を証明できる書類の提出を求められることもあるなど、一定の収入や貯蓄が必要と考えておきましょう。

入居希望者の配偶者や兄弟、子どもなどが身元保証人になるケースが少なくありません。親族を原則としているところがある一方で、施設側が提示する条件さえ満たせば、友人や知人でもOKとしているところもあります。

保証人が担う役割

ここでは、保証人の役割とは具体的にどのようなものがあるのか紹介します。大きく分けるとその役割は「緊急時の連絡窓口」「治療方針の確認や判断、入院する際の手続き」「家賃支払いなどの金銭面の保証」「入居者が亡くなったときの手続きや身柄引き取りなど」が挙げられます。下記で詳しく説明していきますので是非参考にしてみてください。

緊急時の連絡窓口

入居時の容態が急変した際やケガ、事故が起こってしまった場合の緊急時の連絡窓口としての役割です。
入居者は高齢のため、急な行状悪化や容態急変などが発生する可能性があります。そのようなとき、いつでもすぐに連絡ができる窓口として保証人の連絡先を伝えておく必要があります。

治療方針の確認や判断、入院する際の手続き

ケガや病気などにより、治療や入院が必要になった場合、原則入居者本人が判断や手続きを行います。
ですが、
・認知症により判断能力が低下している
・体調急変により、本人の意思確認ができない

など、入居者本人が行うのが困難な場合があります。
その際、入居者に代わって、治療方針の確認や判断、入院する際の手続きを保証人が行います

家賃支払いなど金銭面の保証

老人ホーム利用料の支払いは、原則入居者本人が行います。ですが、万が一支払いが困難になってしまった場合、本人に代わって支払う責務を担います。
また、入居者本人が現金以外で支払いに充てられることができる資産があり、本人の手続きが困難な場合、本人の代わりに手続きなどの対応を行います。

入居者が亡くなったときの手続きや身柄引き取りなど

入居者がもし亡くなってしまった場合、身柄引き取りや退去時の手続き等を行います。
他にも荷物の引き取りや未払い分の費用精算、居室の原状復帰などの役割もあります。

身元保証人がいないときの対処法

介護付き有料老人ホームの約9割が身元保証人を必要とすると前述しましたが、身よりや頼れる親族がまったくいない人もいることでしょう。最後に身元保証人がいないときの対処法を紹介します。

■成年後見制度を利用する

まずは成年後見制度の利用です。認知症やその他の精神疾患などを理由に判断機能が衰えた際、本人の代理として財産管理や法律行ためをしてくれる制度を指します。裁判所が任命することから信頼性が高く、老人ホームによっては成年後見制度の利用で入居可能としているところも珍しくありません。ただし申請してから実際に後見人が決定するまでに時間を要するため、余裕を持って準備を進めていく必要があるでしょう。

■身元保証サービスを利用する

2つ目は身元保証サービスの利用です。株式会社やNPO法人、営利を目的としない一般社団法人などでサービスを提供しています。具体的なサービス内容はそれぞれで異なり、中に身元保証や連帯保証だけでなく、生活面におけるサポートや金銭管理、葬儀や納骨の手配など、幅広いサービスを提供しているところもあるほどです。当然のことながら費用にも違いがあるので、いくつかのサービスを比較検討してみるとよいでしょう。

 

身元保証人と連帯保証人には、とくに損害賠償額における明確な違いがあります。多くの老人ホームでは入居時に身元保証人を求めており、求められる責務やなるための条件は異なるため、事前によく確認しておくようにしてください。

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