身寄りのない人は入院できない?老後や死亡後に備えておくべきことは?
高齢になるにつれて、いろいろと備えておくべきことも増えてきます。そうしたときに一緒に暮らす家族がいなかったり、近くに頼れる人が周りにいなかったりする方にとっては不安になることも多いでしょう。それぞれどのようなことが不安になるのか紹介していきながら、何を備える必要があるのか説明していきます。
身寄りのない人が入院時に困ること
今まで病気やケガに縁がなかった人でも、高齢になるにつれて入院や手術をする可能性が高まるので、元気なうちにいろいろと準備が必要となってきます。どこの病院に入院したほうがいいのかという病院選びも大切ですが、入院時に必ず求められる身元保証人や身元引受人についても事前に準備する必要があるでしょう。
最近、近くに頼れる人がいない高齢者が増えており、入院時に頼れる人がいなくて不安を抱える人も少なくありません。子どもがいる場合や連絡を取り合っている親族や知人がいるのであればとくに問題はありませんが、近くに頼れる人がいなければ、入院時に必要なケースが多い身元保証人を見つけることが難しいでしょう。
以前は身元保証人などがいない理由で入院拒否されることが多かったのですが、厚生労働省によって、そのことだけを理由に入院拒否をすることは違法になる旨が発表されているため、各病院で対応が改められています。
ただし、下記で説明するような役割は必要となっているため、代替的な手段は検討しなければいけません。支払保証に関しては、クレジットカード決済や保証会社の利用を求められたり、生活保護の申請を勧められたりすることがあります。
緊急連絡先としては緊急時に連絡する人を指定しておきましょう。また、入院中に死亡した場合には自治体が戸籍をたどって親族を探して埋葬や遺品の処分などを依頼するのですが、誰も引き取り手がいないときには自治体が遺体を引き取り埋葬してくれます。
身寄りのない人が老後に困ること
親族が近くにいないと老後に困ることがあるため、早めに対策を検討しておく必要があります。ではどのようなことで困ることがあるのかいくつか紹介しましょう。
身体能力の低下
高齢になると身体機能が低下してくるため、日常生活が不自由となり支援が必要となることもあるでしょう。近くに頼れる人がいれば日常生活で、ひとりでできないことでも頼めるのですが、いない場合はどうしたらいいのか不安に思う人もいます。
要支援や要介護認定を受けていれば介護保険の適用によって訪問介護サービスやデイサービスなどを利用できますが、身体的な問題がなければ上記のようなサービスを受けることができません。
内容によっては地域包括支援センターで対応してくれます。地域包括センターとは市町村が主体となり、保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などが配置されており、地域に住んでいる準民の健康保持や生活の安定のために必要な援助を行ってくれるのです。
対象としては地域に住む65歳以上の人や支援のための活動に関わっている人で、相談は無料ですが、有料の民間サービスを勧められる場合もあるでしょう。
不充分な判断能力
認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不充分な場合は、福祉サービスの利用援助などの日常生活自立支援事業などの公的サービスを受けることが可能です。また、そうした方を保護する目的として法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度は判断能力がなくなってから利用する制度で、任意後見制度は問題になる前から準備が可能ですが、身寄りがない人は自分で申請しなければならないので、判断能力がなくなる前に準備しておきましょう。
日常生活自立支援事業は福祉サービスの利用援助や日常的な金銭などの管理に限定されますが、成年後見制度はすべての財産管理や福祉施設の入退所など生活全般の契約などを援助してくれます。
介護の問題
介護が必要になったにもかかわらず、頼れる人がいなければ介護サービスを受ける機会を失う可能性もあります。そのため、元気なうちに専門家と任意後見契約の締結や見守りサービスの契約などの対策をしておきましょう。
また、介護施設の入居時に身元保証人を要求されることが多いので、必要ない施設を探すか身元保証人になってくれる人やサービスを探しておくことも必要です。
身寄りのない人が死亡後に困ること
生前だけではなく、ご自身の死後のことも考える必要があります。死後の火葬についてや事務手続きをしてくれる人がいないと不安に思うことがありますが、そうした不安を解決してくれる手段のひとつが死後事務委任契約です。
死後には関係者への連絡や死亡届の提出、火葬や埋葬の手配、病院や施設、住居などのいろいろな諸手続きがありますが、そうした行為を委任するのが死後事務委任契約で、委任者と受任者とで事務の内容を決めておきましょう。
ただし、埋葬に関して契約していなくても自治体が埋葬することになっているので、必ずしも契約が必要ではありません。
入院や老後に備えておくべきこと
これまで見てきたように、入院や老後に困ることはたくさんあるので、備えておくべきことを事前に準備しておきましょう。とくに、各種手続きをしたり、金銭的なトラブルを回避したりするためにいろいろなシーンで身元保証が求められます。そのため、元気なうちに身元保証のサービス申請や契約をしておくことで、安心して入院や老後の生活を送ることができるでしょう。
まとめ
ここでは、近くに頼れる人がいない場合、入院できるのかどうかについて解説してきました。身寄りがいなければ、入院時をはじめ、老後や死亡後に困ることも多くあります。とくに、身元保証人を求められるケースが多くなるので、対策が必要となってきます。そうしたことから、身元保証サービスを利用することによって解決できることもあるので、元気なうちに事前に準備しておきましょう。